【対談】
医機連魅力発信部会 × 医療機器センター②

【対談】<br> 医機連魅力発信部会 × 医療機器センター②

なぜ就活で医療機器業界は人気がないのか?学生の知らない業界の魅力を語る

 

一般社団法人日本医療機器産業連合会(以下「医機連」)と公益財団法人 医療機器センター(以下「医療機器センター」)。

 

医療機器業界における有識者の2人が、業界の現場や未来について語り合う対談企画。

 

後半となる今回のレポートのテーマは「なぜ就活で医療機器業界は人気がないのか?」。医療機器業界で働くことの魅力ややりがいについて話が弾みました。

 

【対談者】

 

 

一般社団法人 日本医療機器産業連合会 産業政策室 室長/魅力発信部会 主査

和田 賢治さん

 

 

公益財団法人 医療機器センター 医機なび事務局

相宮 直紀さん

 

他業界に比べて医療機器業界が知られていない理由とは?

 

相宮さん「私は財団の活動を通してさまざまな学生さんと接していますが、学生さんの話を聞きながら、医療機器業界に対する認知度が低いことを常に感じています。なぜ医療機器業界は他の業界に比べて知られていないと思いますか?

 

和田さん「医療機器が私たちにとって黒子的な存在だからではないでしょうか。病院に行くことは身近なことでも、病院での主役はあくまでもお医者さんというイメージですよね。医療機器は基本的に医療従事者の方が使うものであり、一般の方が日常生活で触れることは少ないでしょう。

 

ですから『大きくなったらお医者さんになりたい』と子どもの頃から憧れをもつ人がいる一方、『大きくなったら医療機器をつくりたい』という発想にはなかなかなりにくいのだと思います」

 

 

相宮さん「大抵の医療機器は一般の方が直接使うものではないからこそ、自動車や家電製品のようにテレビCMをやることもなく、なかなか一般の方に認知されていかないですよね

 

和田さん「そうですね。そんな医療機器業界のことをもっと広く知ってもらうため、2019年に『医機連魅力発信部会』を発足しました。若い世代に業界に興味をもってもらえるよう、大学が主催する就活イベントなどに参加しながら大学側にアプローチをし、就活生と人材を求める医療機器メーカーの橋渡しをするなどの活動も行っています

 

 

相宮さん「私も魅力発信部会の活動に参加していますが、大学側からの反響が非常に大きく、同時に賛同してくださる企業さんも増えていますよね。実際に和田さんが学生さんと接するなかで印象に残っていることはありますか?

 

和田さん「ある学生さんに医療機器業界のことを話したとき、最初は『文系出身の私ができる仕事ではないですよね?』と言われてしまいました。しかし、文系の学生さんもこの業界で求められていることを説明し、同時に私が考える医療機器業界の魅力を真摯にお伝えしたところ、目の色を変えて興味を示してくれたんです。その表情が印象的で、今でも忘れられません。

 

これはもっと業界の魅力を発信していかないと『もったいない』、そう感じた出来事でした」

 

自分や大切な人の健康を支える。医療機器業界の魅力と、これから求められる人材

 

相宮さん「和田さんが考える医療機器業界で働くことの魅力とは、どのようなものでしょうか?

 

和田さん「なんといっても『人の役に立つ、社会貢献度の高い仕事である』ということではないでしょうか。

 

手術や治療を行うのはお医者さんですが、優れた医療機器が開発されることで、今よりも手術や治療の『精度』や『スピード』が高まり、より多くの人の命を救えるようになるでしょう。そして、医療機器業界に携わることは、自分自身や、自分の家族など大切な人の健康を支えることにもつながります

 

これほど直接的に人の役に立てることが明確な業界も珍しいのではないのではないでしょうか

 

 

相宮さん「そうですね。それに、一昔前までは医療機器というと、まさに『医療現場でお医者さんが治療で使うもの』でしたが、最近では私たちの生活のなかでもう少し身近なものになってきていますよね

 

和田さん「おっしゃる通り『健康寿命』という言葉が注目される昨今、病気が致命的な状態にならないよう、早期発見・早期治療を行うという考え方が強まっています。

 

例えばスマートウォッチのように運動量や消費カロリー、動脈血酸素飽和度(SpO2)などを計測し、データ分析をしてくれるデバイスやアプリケーションも身近なものになっていますよね。

 

今後さらに『医療機器』と『非医療機器』の境目が曖昧になり、スマートフォンや家電など、さまざまな分野と医療機器産業の連携が進んでいくでしょう

 

 

相宮さん「本日はありがとうございました。最後に伺いますが、急速に変化する医療機器業界では、これからどんな人材が求められると思いますか?

 

和田さん「例えば、法学部出身の方なら薬機法など法規制の観点で参画できますし、人と話すことが好きで営業職に興味をもっている方、社会貢献に興味のある方なども、あらゆる『知識』や『想い』は武器になります。また、グローバルに展開する企業も増えてきていますので、語学力も大いに活かせます。もちろん工学系の知識のある理系出身の方は研究開発者としても活躍できます。しかし、デジタル化の波が押し寄せ、変化の激しいこれからの医療機器業界においては広い視点でいろいろなことに興味をもつマインドがより重要になるでしょう。

 

さまざまな人材が集結し、枠に囚われない自由な発想から新たな医療機器や医療サービスが生まれてくるのだと思います。そのことは一人ひとりがゲームチェンジャーになれる可能性を医療機器業界は秘めていることを意味しており、今後さらに面白くなっていく業界だと思います。好奇心旺盛な方や情熱のある方にも、ぜひ飛び込んできて欲しいです」

 

 

2回にわたってお届けしてきた「医機連魅力発信部会 × 医療機器センター」の対談、いかがでしたでしょうか?

 

2人の対談では医療機器業界の企業の方とは違った視点から、業界の状況や魅力などをお話いただきました。

 

今後も医療機器業界に携わる様々な方からお話を聞いていきたいと思いますので、お楽しみに!

 

 

 

>【対談】医機連魅力発信部会 × 医療機器センター①

>【対談】医機連魅力発信部会 × 医療機器センター②

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