【特別インタビュー】
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社②

【特別インタビュー】 <br>デロイト トーマツ コンサルティング合同会社②

医療機器業界の“今”を知る。ハードウェア×デジタルの最先端を紐解く“3つ”のトピックス

前回は、「医療機器業界の特徴や日本の立ち位置」などについて、国内外の業界動向に詳しいデロイト トーマツ コンサルティング合同会社 立岡徹之さんに語っていただきました。

 

今回は、前回のテーマでも取り上げられた「ハードウェア×デジタルテクノロジーによるイノベーション」について、より詳しく語っていただきます。

 

このテーマを紐解くことで、「さまざまな分野の知識や技術を積極的に吸収する」という医療機器業界の新しい一面が垣間見えました。

 

【今回お話を聞いた人】

 

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

執行役員/パートナー 【※肩書は取材時】
立岡徹之さん

ニューヨーク事務所駐在を経て現職に至る。 同社にてMed-Tech Teamリーダーとして、これまで医療・ヘルスケア業界を中心に、新規事業戦略策定、製品戦略、営業改革、海外展開、新規事業企画などを手掛けている。直近では、同領域における官公庁/行政関連の案件も手掛ける中で政策提言/国家施策推進にも参画。 AMED『医療機器開発のあり方に関する検討会委員会』にて検討委員(2018年)を務める。

ハードウェア×デジタルテクノロジーを推し進める3つのトピックス

――ハードウェア×デジタルテクノロジーによるイノベーションというお話がありましたが、具体的にどのようなことが起こっているのでしょうか?

立岡さん「大雑把にいうと、従来のハードウェアにデジタルテクノロジーの力を加えて、機器の精度をあげたり、これまでできなかった治療を実現したり、医療機器の付加価値を高めようという動きのことです。医療機器メーカーが最先端テクノロジーの企業を買収する動きが活発になっている他、GoogleAppleといった巨大企業が医療機器メーカーとタッグを組むなど、イノベーションのための動きが世界中で起こっています。

 

――「イノベーションのための動き」として、具体的にどのようなものが挙げられますか?

立岡さん「大きく分けて3つあります。ひとつは、従来の機器にソフトウェアやアプリケーションの機能を付けるplus Digital(プラスデジタル)。もうひとつが、巨大な医療機器メーカーとIT企業が協業し、IT企業の持つデータやユーザーを動かすノウハウを活かし、幅広い手段で患者に価値提供をおこなうGiant Player同士のタッグ」。そして、アプリケーションやデバイスを用いて、医薬品だけにとどまらない治療方法を開発するPharma(製薬)が狙うBeyond the pill3つが最近話題になっているトピックスです。」

 

医療・健康の質を高めるために世界中で進行するイノベーションとは

――それぞれ事例があれば教えていただきたいのですが、まず「plus Digital(プラスデジタル)」の事例としてどのようなものがありますか?

立岡さん「例えば、心臓などの循環器系では『カテーテル』という細い管を使った手術がおこなわれます。そのカテーテルに臓器の状態を計測できるモニタリングアプリケーションを付けて、手術の精度を高めるといった『従来の医療機器にデジタルテクノロジーをプラスする』事例が生まれ、手術や治療の精度を高める機器が次々に登場しています。

 

――では2つ目の「Giant Player同士のタッグ」ではどうでしょうか?

立岡さん「ITのGiant Playerは、『デジタルテクノロジーを使って人の行動を変える』のがとても得意な企業。そんなIT giantが持つ『人の行動を変えるノウハウ』を治療や健康促進に活かそう、という動きが「Giant Player同士のタッグ」です。

 

この動きの中からは、ZimmerというMedtech giantAppleと協業し、Apple watchを用いて『リハビリをサポートするアプリケーションを開発する』といった事例が生まれています。このような、スマホなどの日常的なデバイスと本格的な医療を組み合わせた開発は、今後も加速していくと考えられています。」

 

――3つ目の「Pharma(製薬)が狙うBeyond the pill」では、どのようなことが起こっているのでしょうか?

立岡さん「これは、医療機器に見られるデジタルテクノロジーとの融合が、医薬品の世界でも起こっているということです。

 

例えば『毎日の体調や気分を入力すると、身体の異変を察知してアラートで知らせてくれるアプリケーション』などがこれに当たります。このようなアプリケーションには『一定の治療効果が得られる・必要のない検査や治療の無駄を省ける』といった効果が期待されています。例えば、ガン患者さんの体調をモニタリングするアプリケーションでは、治療の最適化によって治療効果がかなり改善するという結果がでています。」

 

――ありがとうございます。ここまで立岡さんのお話を聞いて、医療機器業界は「医療だけでなく幅広い知識・技術・情報を吸収しながら前進している』という印象が浮かんできました。

立岡さん「今回ご紹介したデジタルテクノロジーとの融合だけにとどまらず、医療機器業界は、あらゆる先端技術を吸収しながらここまで進化してきました。このような『知識や技術を積極的に吸収する』スタンスは、医療機器業界が持つ特徴のひとつだといえます。

 

 

デジタルテクノロジーやデバイスを使ったイノベーションが次々に起こる医療機器業界。

その背景には、「知識や技術を積極的に吸収する」という、この業界の伝統が息づいています。

 

現在起こっているイノベーションのように「ジャンルに囚われることなく、さまざまな知識や技術に触れられる」という点が、この業界の魅力といえるかもしれません。

 

最終回は、「業界の今後の動向」そして「この業界で働くことの魅力」について、さらに深く立岡さんに語っていただきます。

ぜひ、お楽しみに!

 

 

>【特別インタビュー】 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社①

>【特別インタビュー】 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社②

>【特別インタビュー】 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社③

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