【特別インタビュー】
営業職の女性インタビュー②

【特別インタビュー】<br> 営業職の女性インタビュー②

女性営業が語る。仕事と家庭の両立に必要な要素とは?

初回は、医療機器の営業における「やりがい」についてお二人にお話を聞きました。
今回のテーマは、働く女性の大きな課題である「仕事と家庭の両立」について。
課題はありながらも、個人・チーム・会社・業界と様々なレベルで取り組みがあり、
働く女性を取り巻く環境は刻々と変わっているようです。

 

【今回お話を聞いた人】

 

左:医療機器メーカー 消化器系製品 営業  

下田 悠さん

右:医療機器メーカー 循環器系製品 営業 シニアアカウントマネージャー

田中 美幸さん

工夫次第で両立可能!家庭と仕事を両立した工夫とは?

――医療機器の世界で働きながら、下田さんはお母様の看病と、田中さんは育児と仕事と家庭を両立されてきたとお伺いしました。どのようにして、家庭と向き合う時間を作っているのでしょうか?

田中さん大前提として、周りの協力があったから仕事と子育てを両立できました。また、会社のメンバー・お客様にも協力してもらいました。周りの理解を得ることで仕事を続けることができたと感じています。

 

下田さん「田中さんが仰るように、私も周りの協力が必要不可欠だったと感じています。マネージャー・メンバー・お客様に状況を説明して、周りに協力してもらいながらなんとか仕事を続けることができました。仕事と看病を同時に続けていた期間は2ヶ月くらいだったのですが、協力を得られればなんとかコントロールできるのではないかと感じました。それはきっと、結婚や育児という変化でも同じだと思うのです。

 

――具体的にどのように協力が必要だと感じられましたか?

田中さん育児でいうと、一番の課題が子供の送迎なんですね。私たちの仕事は、ドクターのご予定次第で打ち合わせの開始時間が遅くなるとか、長引くことがよくあるのですが、そのときに『誰が子供を保育園に迎えにいくのか?』というのが大きな問題になるんです。

 

私の場合は夫・自分の母親を含む周りの大人たちとスケジュールをすべて共有して対応していました。私が行けない日は、予め夫・自分の母親・夫の両親に連携して協力してもらう、急遽子供を迎えに行けなくなった場合は誰が対応するのか曜日ごとに予め決めておくとか、一人ではなく複数人で対応するという方法を取っていました。」

 

下田さん結局は物理的に自分が対応できないこともあるので、“代わり”を立てるということが必要不可欠です。なので、前もって状況を説明しておくことが大切だと感じています。事情を話した上で案件をメンバーに共有して、急なお願いにもメンバーに対応してもらえるように準備していました。

 

メンバーだけではなくお客様への説明も必要で、『自分が対応できないので他の者が対応しますが、事前に共有しておりますのでご安心ください』というように、自分が抜けても案件が回るような体制を作っていました。

 

田中さんお客様への説明でいうと、私は時間のあるときに勉強会を開いて、前もって機器の使い方や注意点を共有しておくという方法と取っていました。

 

安全に治療を進めるうえで必要なことを事前に説明しておけば、立ち会いの回数を減らすことができますし、呼び出しなどが起こりにくい状態を作れます。下田さんがいうように、自分がいなくても仕事がまわる状態を作っておくことがとても大切だと思います。」

 

自分の経験を下の世代に。女性が働きやすい環境を作るために必要なこと

――医療機器業界でより多くの女性が活躍するために、現在課題だと思っていることや環境を変えるための取組があれば教えてください。

下田さん「同業種の独身女性と話しをしていると『子供ができても今の仕事を続けられるのか?』というところに不安を感じている方がとても多いんです。

 

田中さんのように、周りの協力を得ながら営業として働き続けている方はもちろんいますが、やはり理解が得られないと実現が難しいという状況はあります。

 

田中さん「弊社も同じような状態で、女性が仕事を続けながら家庭も、というのは簡単ではありません。実際に退職したり内勤に移ったりという方も、少なくないのが現状です。

 

これは、私のような上手くいった事例のノウハウを共有できていなかったり、同じような悩みを抱えていても相談する場がなかったりというのが課題だと思っています。だからこそ、情報の共有や相談しやすい環境作りが大切だと思うのですが、医療機器の業界団体としてもそのような動きがありますし、また弊社独自でもそういった場作りを進めています。

 

下田さん「共有や相談がしっかりできていないというのは私も感じています。先日、同期で女性の営業が一人いたのですが、結婚したタイミングでやめてしまったんですね。会社としても、女性が働き続けられるような環境作りを進めてはいるんですが、やはり仕事と家庭を両立した経験を持った先輩の女性社員がまだまだ少ないのです。

 

体制さえ整えれば良いのではなくて、田中さんのように、具体的にどのように乗り越えたのかという部分を後輩に伝え、一緒になってサポートしてくれる方が必要なのだろうと感じています。

 

――業界団体や各社の情報交換の場では、どのような取組をされているのでしょうか?

 

田中さん「事業部が違ったり営業所が違ったりすると、同じ女性でもコミュニケーションをとる機会が限られてしまいます。同じ会社の女性の営業同士なのに、どのような悩みを抱えているのかとか、将来的にどういうキャリアプランを考えているのかとか、お互いに共有できていないんですね。

弊社のセールスウーマンの会では、ランチミーティングなどを通して、悩みを聞いたり、自分の経験を共有したり、どうすれば続けられるのかということを一緒に考えたり、ディスカッションを交えながら色々とコミュニケーションをしています。

 

社内には私以外にも仕事と家庭を両立されている先輩方がいて、乗り越え方は十人十色なんです。先の送迎の悩みでいうと、手の空いている同僚に子供を迎えに行ってもらっていた、という方もいました(笑)。それを具体的に実践できるかというのはさておき、ロールモデルを共有しあって、いろいろな乗り越え方があるというのをみんなで共有しています。そうすることで視野や考え方も広く持つことができ、それぞれの課題にもっと柔軟に対応できるようになると思うのです。

 

男性の協力も必要不可欠。全員が一丸となって実現する仕事と家庭の両立

――最後に、医療機器業界で仕事と家庭の両立をしやすくするために、お二人が今後取り組んでいきたいことがあれば教えてください。

下田さん「私はまだ独身なので、キャリアアップをしつつも仕事と育児を両立できるような営業になり、後輩たちの見本になりたいですね。先程の田中さんのお話にもありましたが、やはり周りに経験者がいないと、なかなか挑戦できないというのが現実ですので。

 

私の現在の上司は男性です。話はとても親身に聞いてくれるのですが、同じ女性同士のほうが理解しやすいということがあるというのも事実としてあります。だから私が女性として、社内の制度や体制を変えていかなければならないと感じています。もちろん、男性にも協力してもらいながら。」

 

田中さん「育児だけでなく、社会が高齢化していく中で仕事と介護の両立というような課題も今後はどんどん出てくると思います。そうなると、女性だけでなくて男性側にとっても仕事と家庭の両立は大きな課題なんですね。

 

男女関係なく、状況が変わっても活躍しつづけるためには何が必要なのか、みんなで考えなければならない時代だと思っています。家庭のための時間を確保するというのを、甘えとか優遇といった認識ではなく、年齢性別関係なく議論を続けなければならないと思います。」

 

 

女性が働きたくてもなかなか実現できないという課題があった、かつての医療機器営業の世界は、お二人のようなロールモデルを経て、状況は少しずつ変化しています。

まだまだ課題は多いものの、より仕事と家庭の両立がやりやすい方向に舵を切っていくのは間違いありません。

 

 

最終回は「学生がもつ医療機器業界のイメージと現実とのギャップ」についてお二人に聞きしました。

ぜひ、お楽しみに!

 

協力:米国医療機器・IVD工業会(AMDD

 

 

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