【就活生×医療機器 クロストーク】
Vol.3 レポート ①

【就活生×医療機器 クロストーク】<br>Vol.3 レポート ①

「患者さんに寄り添い命を支える」医療機器業界の仕事とやりがい

医機なびが企画する、学生と医療機器業界で働く若手社員の交流の場「就活生×医療機器 クロストーク」。201911月に開催されたVol.2(Vol.2はこちら)に続き、2019年の12月にVo.3を開催しました!(2018年11月に開催されたVol.1はこちら)

 

 

開催当日、東京都内の会場に集まったのは、座長を含む4名の医療機器業界の先輩と、8名の大学生。企業説明会とは異なるざっくばらんな雰囲気で、医療機器業界の実情が語られました。

 

 

【参加していただいた企業の社員】

 

相馬 弘和 (そうま ひろかず)さん

会社:日本光電工業株式会社

入社年度:2012

所属部署:医療機器事業本部 第一技術部 二課 二係

学生時代の専攻:医工学

現場での業務:カテーテル検査装置群の研究開発

       ソフトウェアの設計・開発・維持改良を中心に企画や研究にも従事

 

 

常世 晶(とこよ あきら)さん

会社:帝人ファーマ株式会社

入社年度:2018

所属部署:在宅医療企画技術部門 医療技術研究所

学生時代の専攻:情報科学 バイオエンジニアリング

現場での業務:新規医療機器の開発を目的としたターゲット疾患の選定、治療方法の仮説立案、仮説検証のための非臨床試験などの推進

 

 

福島 周甫(ふくしま しゅうほ)さん

会社:アトムメディカル株式会社

入社年度:2017

所属部署:技術開発部 機械系グループ

学生時代の専攻:機械工学

現場での業務:周産期医療分野を中心とした医療機器製品の企画から開発・設計業務

 

 

座長・進行役
浅野 武夫(あさの たけお)さん
所属:大阪大学大学院医学系研究科・医学部附属病院 産学連携クロスイノベーションイニシアチブ 特任准教授
職歴:元 オリンパス株式会社 社員

 

※所属、肩書は取材時

「経験の有無」は関係なし。先輩たちが医療機器業界を志した理由

 

はじめに自己紹介を兼ねて座長や先輩社員からご挨拶。現在の仕事内容や、医療機器業界に飛び込んだ理由が語られました。

 

浅野さん(※以下座長)「私は大学を卒業後、エンジニアとして「オリンパス株式会社」に約23年在籍し、研究所配属当時は新規光学機器の研究・開発に携わりました。また、5年目からはVR技術を医療に応用するというテーマで、手術シミュレーションシステムの研究をしていました。その後、オリンパス全社の技術戦略を作成する組織に異動し、退社後は「内閣官房 健康・医療戦略室」を経て、「国立研究開発法人 日本医療研究開発機構」に創設当時より参加、医療分野の研究開発の振興に携わっています。学生時代は精密機械工学を学んでいて、医療機器が専門だったわけでもなく、プログラミングをメインで学んでいたわけでもありませんでした。なので、ここにいるみなさんと変わらない感じで、医療機器に関する知識はほとんどない状態で就職したということです。」

 

相馬さん「私が働く日本光電工業株式会社は、駅などに設置されるAED(※1)や病院で使用される生体情報モニターなどを開発する医療機器の販売・製造メーカーです。私はエンジニアとしてカテーテル検査装置(※2)の開発業務に携わっています。もともと医療機器業界に興味があり、学生時代は医工学という、工学部の中でも医療分野に足を踏み入れた分野を専攻とする学科に所属して、義手に関する研究をしていました。そこで医療機器業界で働きたいという思いが固まり、多品種の機器を扱っており様々な面で医療に貢献できそうだと感じた日本光電工業株式会社に就職しました。」

 

 ※1:AED

  けいれんし血液を送り出すポンプ機能を失った(心室細動)心臓に対して、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器

 

 ※2:カテーテル検査装置

  カテーテルという細い管を血管に通して、主に、狭心症や不整脈などの心臓に関わる病気の検査・診断に使う装置

 

常世さん「帝人ファーマ株式会社は、在宅酸素濃縮装置や睡眠時無呼吸症候群を治療する装置など、在宅医療機器を扱っています。また医療機器事業以外に医薬品事業も手掛けており、現在私は医療機器と医薬品を組み合わせた新しい治療の研究をしています。学生時代から医療機器業界を志望していて、特に診断よりも治療に興味がありました。当社が主軸とする在宅医療は、治療を想定するシーンが病院ではなく自宅という、患者さんにとってより身近な存在であることに強いモチベーションを感じています。」

 

福島さん「アトムメディカル株式会社は、『保育器・分娩台・検診台』など、周産期医療分野における機器を開発しています。私が担当しているのは、保育器の設計・開発。大学では機械工学を学んでいましたが、医療機器に関する専門知識はゼロの状態でした。それでも入社してからすぐに保育器という主力製品の開発に最前線で関わることができ、私のような経験の浅い開発者でも活躍の機会の多い会社です。」

 

「患者さんに寄り添い、人の命に貢献する」医療機器業界のやりがい

イントロダクションの自己紹介に続き、座長からの問いかけで仕事のやりがいが語られました。

 

座長「医療機器とは、医療に関わる機器全般のことで、その種類は多種多様。開発の工程や開発期間もものによって異なり、仕事の面白さも違うでしょう。みなさんが仕事のやりがいを感じるのはどんなときですか?」

 

 

相馬さん「以前、自分が開発しているカテーテル検査装置を実際に患者さんの検査に使っている現場を見せてもらえることがありました。医療現場に沿った製品開発を行うためにも、医療施設の方々や営業員・サービス員の協力のもとで現場に出る機会を常に模索しており、貴重な機会です。見学した際には、新たに開発した機能も動作する中で、検査・治療の結果、患者さんの状態が改善するまでの一部始終を見学することができました。そのときは『自分が開発している機器が患者さんの命を支える一助になっている』と実感できて、震えるくらい感動しました。喜びと同じくらい責任も感じますが、それらを含めて何にも変えがたいやりがいです。」

 

 

常世さん「相馬さんと同じように、やはり自分が企画や開発に携わった医療機器と患者さんの繋がりが確認できた瞬間はやりがいを感じますね。私の場合入社2年目なので業務の中で、というのはまだないですが、新人研修のときに医療現場を1週間ほど見させていただきました。患者さんだけでなく、家族の方や担当する医師の方から自社の製品に対して感謝の言葉をかけていただき、大きな喜びを感じました。」

 

 

福島さん「保育器は病院と連携して二人三脚で開発していくので、頻繁に病院に行って試作器を医師の方に見せることがあります。あるときNICU(赤ちゃん用の集中治療室)を見学させてもらうと、自分たちが開発している保育器の中で、生まれて間もないわずか数百グラムという赤ちゃんが、体にカテーテルが入った状態で一生懸命に生きていました。そのときはすごく感動して、日頃の苦労がすべて報われました。同時に強い責任も感じましたね。また、試作を重ねて製品が徐々に完成に近づき、医師の方からお褒めの言葉をいただくときも、技術者としてやりがいを感じる瞬間です。」

 

座長「医療機器は、例えば車やカメラのような製品のように“評価が一般化”されるものとは少し違います。病気や疾患と向き合う患者さん一人ひとりと寄り添い、その人の命に貢献する。他の製品とは全く違う点で、仕事のやりがいと責任感は大きいのかもしれません。」

 

医療機器業界の「業務内容ややりがい」について語られた座談会の序盤。

 

レポート②では、「医療業界のこれから」をテーマに、学生さんからの質問も交えながらさまざまな議論が繰り広げられました。

お楽しみに!

 

 

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