【就活生×医療機器 クロストーク】
Vol.3 レポート ②

【就活生×医療機器 クロストーク】<br>Vol.3 レポート ②

私たちが見据える医療機器業界のこれから

医機なびが企画する、学生と医療機器業界で働く若手社員の交流の場「就活生×医療機器 クロストーク」

 

前回のレポート『患者さんに寄り添い命を支える』医療機器業界の仕事とやりがい」に続き、今回のレポート②では、「医療機器業界のこれから」について、活発な議論が行われました。

 

【参加していただいた企業の社員】

 

相馬 弘和 (そうま ひろかず)さん

会社:日本光電工業株式会社

入社年度:2012

所属部署:医療機器事業本部 第一技術部 二課 二係

学生時代の専攻:医工学

現場での業務:カテーテル検査装置群の研究開発

       ソフトウェアの設計・開発・維持改良を中心に企画や研究にも従事

 

 

常世 晶(とこよ あきら)さん

会社:帝人ファーマ株式会社

入社年度:2018

所属部署:在宅医療企画技術部門 医療技術研究所

学生時代の専攻:情報科学 バイオエンジニアリング

現場での業務:新規医療機器の開発を目的としたターゲット疾患の選定、治療方法の仮説立案、仮説検証のための非臨床試験などの推進

 

 

福島 周甫(ふくしま しゅうほ)さん

会社:アトムメディカル株式会社

入社年度:2017

所属部署:技術開発部 機械系グループ

学生時代の専攻:機械工学

現場での業務:周産期医療分野を中心とした医療機器製品の企画から開発・設計業務

 

 

座長・進行役
浅野 武夫(あさの たけお)さん
所属:大阪大学大学院医学系研究科・医学部附属病院 産学連携クロスイノベーションイニシアチブ 特任准教授
職歴:元 オリンパス株式会社 社員

 

※所属、肩書は取材時

医療機器業界はジャンル不問。無限に広がるステップアップの可能性

医療機器業界は、世界的にさまざまな企業から注目を集めています。

業界の現状や今後の可能性の他、多様なステップアップの可能性について先輩方が語ってくれました。

 

浅野さん(※以下座長)「近年、医療業界への参入を検討している企業が増えています。医療機器産業は製品の原価率が他の業界に比べると低く、コンシューマー製品(※1と比べて収益が高いというのが要因のひとつですね。」

 

 ※1コンシューマー製品

   一般消費者向けの製品を指す言葉

 

相馬さん「さまざまな学問や技術とのコラボレーションもこの業界に求められていると思いますし、その動きは進行していると感じています。つい最近では医療機器としてAIを使った製品が承認されました。これから就職を目指す学生さんには『医療機器業界 = 専門のエンジニアが活躍する業界』と思い込まず、例えば皆さんが専攻しているコミュニケーション学や人間工学など、自分が学んできた学問に絡めて医療機器業界に興味を持ってもらえたら嬉しいですね。必ず自分が活躍できる場があると思います。」

 

福島さん「弊社(アトムメディカル株式会社)は、主に保育器などをメインに取り扱っていますが、例えば新しい病院を作る際、赤ちゃんがリラックスできるように空間のレイアウトや内装の提案からお手伝いすることもあるんです。私は技術者という立場からこの業界に関わっていますが、『関わり方はいくらでもある』というのは覚えておいた方が良いかもしれません。」

 

他の業界と連携し、さまざまな人が関わる医療機器業界。先輩社員もそれぞれこれからのキャリアパスを思い描いているそうです。

 

相馬さん「私は、エンジニアとして入社(日本光電工業株式会社)して8年目です。最近では『今あるまたは新たな技術をどのようにビジネスにつなげて患者さんに届けるか』という、製品の企画にも携わっていきたいと考えています。会社もそういったチャレンジングな気持ちをサポートしてくれて、マーケティングの知識を開発チームに伝える勉強会の開催の他、視野を広げるための海外派遣の機会などを設けてくれます。」

 

 

常世さん「私が今やっているのは、まさに相馬さんがこれからやろうとしている企画や研究といった、言わば“01”にするような仕事。将来的には、自分で企画・研究した機器を開発・製品化して世の中に出すまで、つまり“0100”にするまで、全工程に携わりたいと思っています。私が勤める帝人ファーマ株式会社では、計画的なジョブローテーションにより、研究から生産まで、いろいろな業務経験を推奨してくれる環境です。挑戦してスキルと視野を広げながら、自分が本当にしたいことを追い求めていきたいですね。」

 

福島さん「私はこれからもエンジニアとして機械の設計に携わり、今後はもっと医師の方と深く関わりながら、困りごとを直接聞いてそれに対応できるようになりたいです。アトムメディカル株式会社も個人のやりたいことをサポートしてくれる社風。エンジニアとして常に挑戦し、ステップアップできる環境です。」

 

技術者として腕を磨けるのはもちろん、企画・マーケティングなど、さまざまなステップアップが可能な医療機器業界。ジャンルを問わず、あらゆる学問・ビジネスを吸収しながら進化している現状を考えると「業界内でできることの幅は、今後もどんどん広まっていく」と言えそうです。

 

学生さんからの質疑応答。「海外市場と学生時代のインプット」

 

座談会では、随時質疑応答の時間があります。

今回も、就職を意識した学生さんから、いくつかの質問があり、先輩方や座長が答えていきました。

――医療機器業界の海外の市場はどのようなものですか?

 

相馬さん「ドイツで開催された大きな展示会を視察した時に印象的だったのは、これまでと全く違った視点で新しいプロダクトやサービスを開発しようとするスタートアップ企業が多かったことですね。有名な大手のメーカーだけでなく、革新的な技術や発想を持ったスタートアップが切磋琢磨していて、市場がすごいスピードで新陳代謝しているなと感じました。」

 

座長「日本の企業も今はどんどん海外に進出していて、以前私が働いていたオリンパス株式会社も売り上げの60%が海外という状況。もはや“外から日本の市場を見ている”という視点です。他の業界でも今後さらにグローバル化の波は加速していくでしょう。そのときに必ず必要になるのが『英語力』。ぜひみなさん、英語を学ぶことからは目を背けずに取り組んでほしいと思います。」

 

 

――ある勉強会で、大学生活では読書などのインプットが重要と聞きました。みなさんは大学生の頃どんなインプットをしていましたか?

 

常世さん「私はいろいろな業界や業種の会社説明会に参加していました。たくさんの人の話をインプットすることで自分の視野が広がりますし、興味や可能性に気付くきっかけになるかもしれません。」

 

 

福島さん「自分の場合は、逆に大学のOBやサークルの先輩など、身近な人から話を聞いていましたね。自分と共通点がある近い存在の人がどんな会社でどんな仕事をしているのか聞くことで、自分が就職先を選ぶときの参考になりました。」

 

相馬さん「私は『インプット』と考えるとあまり得意な方ではありませんが……就活のときはとにかく会社説明会のような場には積極的に参加していました。そういう場にでると自然と自分から喋らないといけない状況になり、喋る……つまり“無理矢理”アウトプットすることで、いろんな人の話と一緒に自分の考えも整理された状態でインプットできます。今もエンジニアとしてこの感覚は大切にしていて、何かを生み出そうと手を動かして、わからないことがでてきた時にそこから調べてインプットした内容は早く身になるように感じます。無理にインプットを増やそうと意識するのではなく、自分に合った方法でいいと思います。」

 

座長「3人が語ったように、インプットの方法は人それぞれですが、常に何かを吸収しようとするメンタリティは重要かもしれません。同じ人の話を聞くということでも、聞き方で得られるものは大きく異なります。人生は一生勉強。就職するとその成果が目に見えてわかるようになるので、間違いなく今以上にやることは楽しくなるでしょう。ずっと勉強をすることは捨てないでほしいです。また、できればそのすばらしい能力を医療機器業界で生かしてもらえたら嬉しいです。」

 

 

「開発やエンジニア」というキーワードだけでは収まりきらない医療機器業界の可能性がかいま見え、クロストークはいよいよ終盤に。

 

レポートは「③」では、先輩から学生さんたちへのメッセージや学生さんたちの感想をご紹介します。

お楽しみに!

 

 

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