【コラム】医療機器業界で働く人の待遇は?-2025年-

こんにちは、医機なび事務局です。

就職活動をする上で多くの人が気にしているであろう給料。

医機なび主催のイベントに参加をした学生の皆さんに就活の軸についてアンケートを取っても、毎回給料が上位に来るくらいとても関心がある情報であると考えています。

 

そこで、今回は医療機器業界の給与水準はどのくらいなのかについて、MEジャーナル編集長 半田良太さんに教えてもらいました。

ぜひご覧ください!

医療機器業界の給与水準はどのくらい?

就職活動中の皆さんにとって、どういった業界、どういった会社で働くかは大変重要です。

一昔前のように終身雇用が当たり前の時代ではありませんが、初めて社会人として働く業界、会社は、その後の人生を大きく左右することになるといっても過言ではありません。

業界や会社選びを進めるうえで、これまでの学びを活かした社会貢献ややりがい、なりたい自分になるという自己実現など、高い志を持って活動していると拝察しますが、それだけでお腹が膨れないことも事実。

現実的には、「どのくらい稼げるのか」「業界に将来性があるか」といったことにも、強い興味・関心をお持ちだと思います。

今回のコラムでは、製品を作る医療機器業界、メーカー横断的に多種多様な製品を医療機関に届ける、医療機器販売業界の給与水準がどうなっているのか、紹介していきたいと思います。

全給与所得者の平均給与「正社員では545万円」

まずは日本の平均年収からおさらいしたいと思います。

国税庁の「令和6年分 民間給与実態統計調査」をみると、1年を通じて勤務した給与所得者5137万人の1人あたりの平均給与額は「477万5000円」(前年比=以下同、3.9%増)となりました。

平均年齢は47.2歳となります。

ここから正社員(正職員)のみを抽出すると、1人当たりの平均給与額は「544万9000円」(同2.8%増)と全体から70万円弱アップします。

日本は長らく経済が低迷しデフレが続いておりましたが、昨今はインフレに転換しています。

それに伴い、人件費や平均給与もここ数年、右肩上がりの増加トレンドを描いています。

株式上場の医療機器メーカー51社の平均給与は「約757万円」

次に医療機器メーカーの給与水準を見ます。

MEジャーナルが、有価証券報告書を基に一定条件下で、国内で株式を上場する医療機器事業を手掛ける医療機器メーカー51社の2024年度の従業員1人あたり給与額を集計したところ、単純平均で「757万1000円」(3.5%増)でした。

平均年齢は42.6歳。

全給与所得者よりも5歳弱も若いのに、全体平均よりも300万円弱、正社員との比較でも200万円以上も、高額な報酬を手にしていることが確認できました。

医療機器メーカー上位2社は「1000万円超」 上位10社も「900万円超」に

個別企業に目を移すと、医療機器メーカーの上位2社では「1000万円超」となり、一般的に“高給取りの目安”とされる「年収1000万円」を突破しています。

上位10社を切り出しても、全て「900万円以上」の平均給与が支給されています。

 

ちなみに医療機器メーカーで、全給与所得者の平均給与額を下回る企業はゼロでした。

正社員の平均給与額と比べた場合では、これを下回る医療機器メーカーが2社存在するも、いずれも平均年齢は30歳代後半から40歳台前半です。

つまり医療機器業界は、全給与所得者と比べて、処遇面で厚遇されていると言っても、過言ではないでしょう。

株式上場の医療機器販売業者7社の平均給与は「671万円」

次に、医療機器メーカーの製品を横断的に品ぞろえし、医療機関に届けている医療機器販売業界に目を移します。

医療機器販売業界は、いわゆる流通業。一般的に流通業は、製造業と違って物を作っているわけではありませんので、肩を並べるほどの給与水準にはなり得ません。

ところが医療機器販売業界は、製品を届けるという配送機能に加え、多種多様な医療機器の使用方法を医療機関に説明し、手術などの業務をサポートする「適正使用支援業務」という役割を担っていることも手伝ってか、一般的な流通業界全般と比べ、給与水準は高いと言われています。

 

MEジャーナルが株式を上場する医療機器販売業7社の2024年度有価証券報告書を調べたところ、従業員1人あたり給与は単純平均で「671万円」(2.6%増)となりました。

平均年齢は医療機器メーカーと同様42.6歳。

全給与所得者にとどまらず、正社員と比較しても、いずれも100万円以上も高い給与水準を誇っています。

ちなみに国税庁調査から「卸売業・小売業」を抽出したところ、平均給与額は「410万円」にとどまることから、流通業界としてはかなりの高額な部類になるのではないでしょうか。

 

個別企業に目を移すと、トップは「800万円台」を確保し、上位6社まで「600万円台」を確保しています。

残り1社は500万円台中盤にとどまるものの、全給与正社員と比べても数万円少ないだけで、ほぼそん色ないと言えます。

資料:「全給与所得者と医療機器業界の平均年間給与額の比較」(単位、万円)

全給与所得者(うち正社員)医療機器メーカー医療機器販売業
2022年458523714638
2023年 460530727649
2024年 478545757671

注)MEジャーナル調査は調査時期や客体数が異なるケースがある

出典:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」、MEジャーナル調査

医療機器業界 患者救命への貢献という「やりがい」と「高い給与水準」が両立

以上を踏まえると、医療機器業界全般は、製品を提供することで患者の救命に貢献できる「やりがい」に加え、全産業の平均を大きく上回る給与水準であることも確認されました。

加えて、政府は、次代の“日本経済のけん引役”に育成すべく、医療機器産業の成長を後押しする産業政策を打ち出しています。

こうした状況を踏まえると、私の眼には、大変恵まれた、魅力的な業界に映ります。

まとめ

いかがでしたか?

医療機器業界は全給与所得者の平均と比べ、給与水準が高いということがおわかりいただけたのではないでしょうか。

加えて仕事を通じて人の命や健康を支えることに貢献できる、景気に左右されにくく安定しているなど、働くうえで様々な魅力を持つ業界です。

少しでもいいな!と感じた方は、ぜひ医療機器業界についても調べてみてはいかがでしょうか?

MEジャーナル編集長

半田 良太さん