【特別インタビュー】
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社①

【特別インタビュー】 <br>デロイト トーマツ コンサルティング合同会社①

「グローバルな活躍」への近道。“デジタルとの融合”が進む日本の医療機器業界

普段あまり目にする機会のない医療機器。「医療機器業界とはどういった業界なんだろう?」と思っている学生さんも多いのではないでしょうか。

 

また、業界のことを知っていても

専門的な知識が必要で敷居が高そう――

昔かたぎで、なんとなく固い人や仕事が多そう――

などなど、少しネガティブなイメージを持っている方もいるかもしれません。

 

しかし、実際には「イノベーションの源泉・グローバルな活躍ができる」など、イメージとは異なる姿があります。今回は、そんな「医療機器業界の特徴や魅力について」、業界の動向に詳しいデロイト トーマツ コンサルティング合同会社 立岡徹之さんに詳しく語っていただきました。

 

【今回お話を聞いた人】

 

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

執行役員/パートナー【※肩書は取材時】
立岡徹之さん

ニューヨーク事務所駐在を経て現職に至る。 同社にてMed-Tech Teamリーダーとして、これまで医療・ヘルスケア業界を中心に、新規事業戦略策定、製品戦略、営業改革、海外展開、新規事業企画などを手掛けている。直近では、同領域における官公庁/行政関連の案件も手掛ける中で政策提言/国家施策推進にも参画。 AMED『医療機器開発のあり方に関する検討会委員会』にて検討委員(2018年)を務める。

「グローバル全体がひとつの市場」。仕事の舞台は巨大なグローバル市場

――医療機器業界とは、どのような特徴を持った業界なのでしょうか?立岡さんの考えを聞かせてください。

立岡さん『グローバル全体がひとつの市場』というのが一番の特徴です。世界中のドクターは皆同じ『医学』を学び、それをもとに患者さんを治療します。そのため、求められているものが世界共通で市場が細分化していないのです。

 

その他の業界は、例えば食品業界でいうと、国や地域によって好みが異なるため、市場が細かく分かれています。どの業界でも、言語や文化の違いによって大なり小なり市場は細分化しますが、医療機器のように、グローバルで市場がひとつにまとまっている業界は稀だといえます。

 

――「ひとつの市場」という医療機器業界の特徴は、働く上でその他の業界とどのような違いを生むのでしょうか?

立岡さん国内も国外も含めて『ひとつの市場』なので、海外との距離が近いことがその他の業界との違いになると思います。国内メーカーの医療機器が世界中の病院で使われているので、『世界を身近に感じられる』といえるかもしれません。グローバルな舞台で活躍したい、または興味がある学生さんにとっては、とても魅力的な業界だと思います。

 

――そのようなグローバルな動きは、国内のメーカーにいても十分に感じられるものなのでしょうか?

立岡さん「日本は先端医療のトップランナーのひとつで、世界中からその高い医療技術が評価されています。また、アメリカやヨーロッパの情報も入ってくるので、「医療」という世界の中でも、日本は情報の行き来が特に活発な地域のひとつです。医療機器は、そんな「医療」と深い関わりを持つため、業界の中にいれば、世界規模で起こる知識や技術の刷新を肌で感じることができると思います。もちろん企業による違いはあると思いますが、世界との距離が近いのは間違いありません。」

伝統的なハードウェアに強みを持つ日本。欧米を追従する市場での立ち位置

――日本は先端医療のトップランナーのひとつというお話がありましたが、医療機器という切り口で見たときどのような立ち位置にいるのでしょうか?

立岡さん「医療機器には、高い精密性・安全性が求められます。このような要素は日本が伝統的に強い部分で、日本の医療機器メーカーは、グローバル市場の中でも一定のシェアを獲得しています。ただし、手術などの場面において体内で使われるような高度治療機器については、まだまだ欧米の先進企業が先行していますね。

 

一方で、京都大学の山中教授が再生医療に関する革新的な成果でノーベル賞を受賞したように、分野によって違いはありますが日本の先端医療は世界的にも有名で、医療機器・先端医療両方の分野で注目度が高い国のひとつです。

 

――では、その中でも課題や改善点をあるとすれば、どのような部分が挙げられますか?

立岡さん「現在、従来の医療機器にITやデジタルを加え、よりよいプロダクトを開発していこうというイノベーションがアメリカのシリコンバレーを中心に起こっています。日本は欧米に比べると規制が厳しく、ハードウェア×デジタルテクノロジーの動きに少し出遅れてしまいました。

 

しかし、政府が医療機器産業を日本の成長産業に位置づけたことで、規制が整理されたり医療機器メーカーがテクノロジー系の企業を買収する動きが活性化したり、新しい開発を進めるための環境が少しずつ整ってきています。課題や改善点はありますが、明るい要素が増えている状態だと思います。」

 

 

立岡さんのお話から、「グローバルで活躍する近道のひとつ」「デジタルテクノロジーによるイノベーション」など、一般的なイメージとは異なる医療機器業界の一面が垣間見えました。

 

では、現在業界で起こっているというイノベーションとはどのようなものなのでしょうか?

次回は、「ハードウェア×デジタルテクノロジーによるイノベーション」をメインに、この業界の魅力についてさらに深く語っていただきます。

 

お楽しみに!

 

 

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