スタートアップ企業が取り組む、AIを活用した医療機器! - AMI AI医療機器および遠隔医療サービスの社会実装編 -

スタートアップ企業が取り組む、AIを活用した医療機器! - AMI AI医療機器および遠隔医療サービスの社会実装編 -

こんにちは、医機なび事務局です!

 

 

AI医療機器協議会さんとのタイアップ記事、そして『スタートアップ企業が取り組むAIを活用した医療機器!』の紹介シリーズ第4弾。

 

今回はAMI株式会社の企業概要と取り扱うAI医療機器についてご紹介をいただきましたので、ぜひご覧いただければと思います。

 

はじめに

前回の記事では、眼底画像による診断を支援するAI医療機器を開発・製造販売している「DeepEyeVision株式会社」をご紹介しました。

 

四社目はAI医療機器および遠隔医療サービスの社会実装を目指している「AMI株式会社」(以下、AMI)をご紹介します。

 

AMIってどんな会社?

AMIは「急激な医療革新の実現」をミッションに、AI医療機器および遠隔医療サービスの社会実装を目指している研究開発型スタートアップです。

AMIは医師である代表の小川氏が、以下の3つの理由から2015年に設立しました。

 

1.故郷の熊本地震の際に参加した医療ボランティアで、災害時のような高度な医療機器が使えない状況でも有用な医療機器とシステムの重要性を痛感したこと。

 

2.循環器内科医としてドクターヘリやドクターカーに乗っていた時に、遠隔地への医療情報の伝達に課題を感じていたこと。

 

3.医療技術の発達により、心疾患の治療の選択肢が増えた今だからこそ、早期発見を助ける医療機器で突然死を減らしたいと考えたこと。

 

このような経緯から、「いつでも・どこでも・だれでも、質の高い医療を受けられる世界」を実現するために、遠隔医療サービスの社会実装や、心疾患を心音・心電から早期発見するための医療機器の研究開発に取り組んでいます。

 

ドクターカーで診察する代表小川氏

 

聴診の重要性って、何?

心臓は四つの部屋に分かれ、全身に血液を送るポンプのような役割をしています。

心臓には四つの弁があり、血液が逆流しないように働いています。

これらの弁が上手く開閉しないと血液の流れが滞り(これを心臓弁膜症といいます)、全身に血液を送るために心臓はさらに働き続け、余計な負荷がかかります。

この症状を放っておくと心臓に様々な異常を引き起こします。

心臓弁膜症は無症状の期間が長く、症状が現れた時には治療をしても3年以内に死亡するケースが多いです。

 

心臓弁膜症は、心臓の弁を取り替えることで治療ができます。

現在は開胸など大掛かりな手術のほかにも、カテーテルという細い管を血管に通すことによる、体への負担が少ない治療法も選択できます。

治療を受けるためには精密検査が必要なのですが、症状が現れるよりも前に、「精密検査を受けるべきか否か」を素早く誰でも調べられる検査、それが聴診です。

聴診は2000年前から行われてきた医療行為です。

そして今から約200年前、フランスの医師ルネ・ラエンネックが聴診器の原型を発明しました。

聴診器の利点は大きな設備が不要であり、離島や山中、被災地であっても医師による診断を行うことができます。

 

しかしながら、聴診にも問題点があります。

それは診察した医師の聴覚と判断に依存するため、症状の見落としが起こりやすいことです(大動脈狭窄症における従来の聴診の正答率は、50~88%と報告されています 1,2,3)。

最近では風間繁医師によって発明された体に当てる部分が二つに分かれていて、それぞれ右耳と左耳へと繋がっているステレオ聴診器や、アンプによって10倍以上に音を大きくして録音する機能を有したデジタル聴診器も開発されています。

 

AMIは心音をより正確に測るだけでなく、より客観的な判断を下せるシステムでこの問題を解決したいと考えています。

 

心臓弁膜症は早期発見が重要

 

AMIが開発した「次世代の聴診器」

AMIが「超聴診器」と愛称を付けている「心音図検査装置AMI-SSS01シリーズ」は、医師の心臓聴診による診断をサポートする心音図検査ができる医療機器です。

心音図検査装置AMI-SSS01シリーズの特長は心電・心音・可視化の3つです。

 

1.心電

心臓が拍動する時に発する微弱な電気信号である心電を測定・記録することで、正確な心臓の一拍を切り出すことができます。

 

2.心音

心音は低く聞こえづらい周波数の音を発していますが、超聴診器では人の耳で聞こえる最下限の20Hzまで取得することができます。

 

3.可視化

取得した心電・心音を可視化するだけでなく、心音を3次元の画像で見せることで、音の高低だけでなく強さも視覚的に表示することができます。

 

上記検査は、医師だけではなく、看護師や臨床検査技師など医療従事者であれば誰でも測定を行うことができるくらい簡単な操作で利用可能です。

 

さらに、心臓聴診による診断サポートを充実させるために、心音の測定から2時間以内に正常か否かを、24時間以内に可能性のある病名を含めた診断内容を助言する「遠隔聴診読影サービスβ版」の提供も開始しました。

「心音図検査装置AMI-SSS01シリーズ」と「遠隔聴診読影サービス」によって、専門医のいない地域でも聴診に精通した医療従事者から精密検査が必要かの判断補助を受けることができます。

(製品についてはこちらhttps://ami.inc/products-service

 

販売名称:心音図検査装置AMI-SSS01 シリーズ(承認番号:30400BZX00218000)

 

AMIの展望

AMIは現在、複数の研究機関・医療施設と連携を取ることで、AIを用いた様々な心疾患の自動診断アシスト機能を開発しています。

この機能が搭載された超聴診器の普及により、いつでも・どこでも・だれでも、より質の高い医療が受けられ、将来的には家庭にも超聴診器が置かれることで、血圧測定と同じように「健康維持のための聴診」が行われる世界をイメージしています。

 

また、AMIは設立当初より、全国各地の専門医がクラウド上にいて、例えば離島やへき地にいる非専門医がいつでも専門医に相談をすることができるシステムの構築を構想してきました。

そのシステムが、「クラウド総合病院」です。遠隔聴診読影サービスβ版のリリースを皮切りに、このクラウド総合病院の実現を目指します。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか?

 

AMIは、新たな形の聴診器を活用した遠隔医療サービスを提供するとともに、更にサービスの価値を高めるためにソフトウェアやAIアルゴリズムの研究開発を進めています。

心音図検査装置AMI-SSS01シリーズは、簡単な操作により専門医のいない地域でも、質の高い聴診を可能にします。

 

高齢化の進む日本では、これから心不全患者が更に増加し、「心不全パンデミック」が起こると考えられています 4

そのため、心臓病の早期発見の重要性はますます高まっており、定性的であった聴診を、定量的に評価できるようになることは大きな意味を持つと考えています。

 

さらに、心臓病の早期発見は日本のみならず、世界全体で共有されている課題です。

日本に留まらず海外でも、遠隔聴診と自動診断アシスト機能が普及する未来を目指し、研究開発を続けていきます。

 

この記事を通して、AMIの活動に興味を持っていただければ幸いです。

 

 

次回の記事では、「最善の医療を、すべての人の手の中に。」をミッションに、治療提案AIの社会実装を目指している「株式会社Cubec」の取り組みをご紹介します。

 

お楽しみに!

 

 

1.Stokke TM, Ruddox V, Sarvari SI, Otterstad JE, Aune E and Edvardsen T. Brief group training of medical students in focused cardiac ultrasound may improve diagnostic accuracy of physical examination. J Am Soc Echocardiogr. 2014; 27(11): 1238–46. DOI: 10.1016/j.echo.2014.08.00

 

2.Kobal SL, Trento L, Baharami S, et al. Comparison of effectiveness of hand-carried ultrasound to bedside cardiovascular physical examination. Am J Cardiol. 2005; 96(7): 1002–6. DOI: 10.1016/j.amjcard.2005.05.060

 

3.Mehta M, Jacobson T, Peters D, et al. Handheld ultrasound versus physical examination in patients referred for transthoracic echocardiography for a suspected cardiac condition. JACC: Cardiovasc Imaging. 2014; 7(10): 983–90. DOI: 10.1016/j.jcmg.2014.05.011

 

4.Shimokawa, H., Miura, M., Nochioka, K., & Sakata, Y. (2015). Heart failure as a general pandemic in Asia. European Journal of Heart Failure, 17(9), 884–892.

 

 

AMI株式会社HP

 https://ami.inc/

 

※こちらの記事は『AI医療機器協議会』協賛の記事です。

 もっとAI医療機器協議会について知りたい!という方はこちらをご覧ください。

 https://aimd.jp/

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